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午前10時を過ぎた頃、僕達は喫茶店でアイスコーヒーを飲みながらゆっくり寛いでいた。
やっぱり、クーラーが効いてる場所は爽快だ。僕は外で暑そうに歩く人達を窓越しから眺めながら、ゆっくりと安堵のため息を漏らした。
「ごめんね、いきなり誘っちゃって」
「いいですよ。私も暇ですし、叶夢さんに誘ってもらえるなら光栄ですし」
と、凛ちゃんははにかんだように笑う。
そんないつも誘ってるじゃんと、会話の流れのまま言い返そうとしたが、口を噤んだ。
言われてみれば、確かに凛ちゃんは真琴と仲良しだったから、よく頻繁に顔を合わせたことはあったが、2人でこうして顔を合わせるのは稀なことだった。
「そういえば、凛ちゃんってなんのお仕事してるんだっけ?」
僕はそのまま、話題を切り替えることにした。
「書店の販売です」
「ああ、そうだったよね。確か駅近くにある、大きな本屋さん」
「そうです」
「大変?」
「いえ。最近、少しずつ慣れてきたんで、そうでもないですね。ただ、今ちょうど文庫本が売れるんで、ちょっと発注が大変です」
「そっか。夏休みシーズンは、読書感想文で本買いに来たりするもんね」
「ええ。叶夢さんは最近、どうです? 保育園のお仕事は?」
気を使ってか、今度は凛ちゃんが反対に質問を投げ返してくる。
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