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「うん。僕もやっと、慣れてきたかな」
「そうですか。やっぱり、人を預かる仕事ですから、責任は大きいですよね。それをやってのけるのは正直、凄いと思います」
「そんなことないよ。逆に僕の場合は子供達に励まされることの方が多いしね。こないだなんか、ボーっとしていたら、児童の子に『叶夢先生、元気ないね』って心配されちゃうくらいだもん。僕なんて、まだまだだよ」
僕は苦笑しながらも、明るく答える。すると、それに対してか、ストローを口にくわえてた凛ちゃんが、僕の顔を覗き込むように凝視する。
そして、しばらく沈黙の空気が流れた。
「普通だと思います」
その空気を最初に打ち破ったのは、意外にも凛ちゃんの方であったが、僕は凛ちゃんのその言葉の意味を理解できず、次の言葉を待った。
「叶夢さん、真琴の前では、ずっと強く振る舞っていましたから。真琴が死んで葬式の時ですら、寂しそうな素振りもしませんでしたし」
「うん。なんか酷い奴だよね、僕って」
「あっ、違いますよ。責めてるんじゃないです。逆です。むしろ、どんな付き合い方をしたら、そんなに想ってもらえるのかなって思いました」
そう真剣な眼差しで凛ちゃんは話すが、僕はただ、苦し紛れに目を逸らした。
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