第1章

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次の日の朝。 シフト制勤務の僕は今日、前もって公休をとっていた。 14日は真琴の命日。できることなら、午前中の内に真琴のお墓参りを済ませておきたかった。 真琴が眠るお墓は、今や1人暮らしとなったアパートから、車で20分ほど走らせた場所にある。 到着して車から出ると、エアコンのかかる車内とは違い、外は乾いたような蒸し暑さが体中にまとわりつく。8月とはいえ、今日は30℃を越える猛暑だと天気予報のお姉さんも言ってたっけな。 平日のせいか人は少ない。僕はバケツに水を汲んでから、すぐ真琴の墓石へと向かった。 「ん?」 真琴の墓石の方まで歩くと、僕より先に拝んでいる先客の姿に気付き、足早だった足を無意識に止めた。 拝んでいたその人物の顔をそっと覗くと、相手も僕の気配に気付いてか目を開け、こっちを向いた。
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