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62年3月2日 午後2時
外は大荒れの吹雪
「平山さん頑張って下さいね!もうすぐですよ」
「先生!赤ちゃんの心音が停止しました!」
「平山さん!これが最後ですよ!イキんで!」
「ん-ッ」
・
・
・
・
「オギャーッ」
「おめでとうございます!女の子ですよ」
心音停止の危機を乗り越え、この物語の主人公「絵美」は誕生した。
生まれたての私は結膜炎が酷く、母に抱かれることのないまま眼科に連れて行かれた。
母も産後の体調がおもわしくなく、絶対安静だったため、母乳をあげる事も、新生児室にいる私を見に行く事もできなかった。
母が私を抱いたのは 生後3日目。
「会いたかった・・・」
母はそう呟いたって言ってた。
まだなにも知らない私は
無色の涙を流してた。
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