-幼少-

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実母に勘当されていた母は とりあえず親戚の近くに家を借りた。 「のんびり二人でくらそうね。がんばろうね・・・」 母は口癖のように言ってた。 私は母と二人でいられる事が凄く嬉しかった。独り占めしたくて・・・ 小さな部屋で寄り添って寝たこと 台風の時におぶられて家まで帰ったこと 停電した時ろうそくの灯りでご飯を食べたこと 凄く楽しかった。 だけど ある夜から 私は親戚の家に預けられるようになった。 「お母さん、お仕事行ってくるね」 嫌なんて言えない。寂しいなんて言っちゃだめ。 幼い私は自分の気持ちを抑えてた。 でもね、やっぱり寂しいんだ。 親戚の家で寝れなくて お母さんのいない布団じゃ寝れなくて・・・ 毎晩泣いてた。 「うるさい!静かにしろ!」 泣けば親戚のおばさんに殴られる。 痛くて辛くて悲しくて・・・ だけど 「がんばろうね」 そう言ってた母には言えなかった。 我慢しなきゃだめなんだって思いこんでた。 いつか・・・ いつか気づいてくれるって期待しながら・・・
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