第一回

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第一回

彼とは長い付き合いになるが、彼はまだ一度も僕の顔をみたことがない。なぜなら彼は数十年前から目が見えないのだ。彼の話によると、溶接の仕事をしていた時、事故で目を焼いたらしい。彼と僕との間には、もちろん彼の身体的な障害もあったが、それ以上にいろんな苦難や障害を乗り越え、そして僕は彼の目となるべく支えてきた。でもここまでやってこれたのは、彼の意志の強さと屈託のない素朴な人柄に、逆に僕も支えられてきたと思う。そこで少し僕達の日常をお話したいと思います。
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