第五回

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第五回

彼との距離は日に日にちぢまっていった。すべての壁は取りのぞかれたように、僕らはそれまで以上に親密になっていった。ある時先日インタビューを受けた雑誌が発売されるということで、雑誌社から送られてきた。「おい!僕が載ってる記事を読んでくれ」と彼は子供のはしゃぐ声に近いような声で、僕を急かした。僕は雑誌の記事を読み、点字に直して彼に渡した。彼は満足気に読んでいた。僕もその姿をみて、微笑み安心して自宅に戻ろうとした時、「おい!ちょっとこっちにきてくれ!」ん?何かあったんだろうか、僕はあわてて彼の部屋に駆け付けた。彼が苦しそうにしていたので、側にいき「どうしたの?」と彼に尋ねた。
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