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「いやぁっ!」
鈴音は、自分の叫び声で目が醒めた。
「夢…か…」
兄の雅樹が、鈴音の部屋に入って来て、鈴音の額に手を乗せた。
「大丈夫か?」
「…う…ん…」
鈴音は雅樹にしがみつくように、雅樹の胸に顔を沈めた。
雅樹はそんな妹を優しく抱きしめた。
「また、見たんだな…。あの夢…。見知らぬ世界であいつの体が砂のように崩れた夢…」
「…なんで夢に見るの?人の体が砂になるなんて見たことも聞いたこともないのに…」
「あいつは何かお前に訴えたいことでもあるのかね。まぁ、何はなくともまずは飯だ。さっさと朝飯を済ましちまおうぜ。お袋がうるさいからな」
「何かあるといつもこうだっ。兄さんの頭の中には食べることしかないの?」
鈴音は、そんな兄のお気楽な言葉に口をとがらせた。
「朝食は1日のエネルギー源だ。腹が減っては戦はできぬと言うからな」
雅樹は鈴音の頭をポンポンと叩いた。
「…すぐ行く…。着替えるから兄さんは出ていって」
「はいはい」
そう言って笑いながら、雅樹は部屋を出ていった。
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