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鈴音が、連れて来られた場所は龍華(ロンファ)の図書館に似た建物であった。
「龍飛(ロンフェイ)、連れてきたぞ」
「ありがとう。ガジュマル」
「!?」
龍飛と呼ばれた女性を見た時、鈴音は驚いた。龍飛の顔は龍華と瓜二つであったからだ。
「…龍華と瓜二つの顔でびっくりしてるみたいね。私は、竜人龍飛。この図書館の館長をしているの。よろしくね」
龍飛は、驚いた顔をしてずっと自分の顔を見いる鈴音を見て静かに笑った。龍飛の言葉と表情に、鈴音は顔を赤くして慌てふためいてしまった。
「ご…ごめんなさいっ。あまりにもそっくりだったものだから。あ…あの…。龍飛さんは龍華さんをご存知なのですか?」
鈴音の唐突な質問に、龍飛は再び静かに微笑んだ。
「知っているもなにも、龍華は私の双子の妹だもの。それよりも、いきなり貴女達をこの世界に引き込んでしまってごめんなさいね」
龍飛は、本当に申し訳なさそうに鈴音に頭を下げて謝罪した。そんな龍飛を見て鈴音はまた、慌ててしまった。
「龍飛さん、頭を上げてくださいっ。いきなり、今までと違うこの世界にいきなり来てしまっていたのには驚きましたが、謝ってもらうほどの事ではないんですよ?この世界に来れば、私の双子の兄の事がわかる…。龍華さんは、そう仰っていました。この世界で、色々次兄の事を調べてみようと思います。けど、まずはもう1人の兄と友人を探さないと…」
「その必要はないですよ」
そう言ってきたのは、茶色の髪にアメジスト色の瞳を持った色白の女性であった。
「マヤ、来ていたのか」
「怒っちゃ嫌よ、ガジュ」
マヤと呼ばれた女性は、ガジュマルの腕の中に入り、彼の頬に触れた。マヤは鈴音に向き直り、ぺこりと頭をさげた。
「はじめまして。鈴音さん…で良かったですよね?私はマヤウェル。人間界で司書をやっています」
「今更だが、俺も名乗っておく。俺の名はガジュマル。緑人(りょくびと)界で司書をしている」
2人の自己紹介に、鈴音は首を傾げてしまった。その様に2人は顔を見合わせ、彼らもまた首を傾げてしまった。
しかし、そんな中でも龍飛は静かに微笑んでいた。
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