再会

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「どうして発注したのが飯泉店長だと分かったんですか?」 「佐京君よりも長く亜紀と一緒に仕事してきたのよ。亜紀のミスくらい分かるわ。それに佐京君にマネージャー業務を叩き込んだのは、この私よ」 半年経っても美嶺マネージャーは相変わらずである。 「半年経っても亜紀は相変わらずミスが多いのね。でも発注は佐京君がするように言ったはずよ?」 「えぇ。飯泉店長が発注するってきかなかったものですから」 「佐京君。そういう時は無視して構わないわ。こういう結果になるから」 「今後そうします。それより今日はどうなさったんですか?」 俺の言葉で思い出したかのように、手提げの中をまさぐった。 「仕事してる佐京君に頼むのも申し訳ないのだけれど、圭介にこれを渡してほしいのよ」 そう言って差し出してきたのは、赤のギンガムチェックに包まれたお弁当だった。 「愛妻弁当ですね」 「バカを言わないの。圭介ったら寝坊した上に忘れて行ってしまったのよ。今日4号店に行く予定だと言ってたし、携帯に連絡も入れておいたから直に来ると思うわ」
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