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「いえ、知りません」
(花沢なんて名字は珍しくない)
そう自分に言い聞かせる。
「そうか。確定した話じゃないから、決まったらすぐに報告するよ。それじゃあ、僕は本社に報告に行ってくる」
「はい、お疲れ様でした」
木ノ下AMに一礼すると、飯泉店長はフラフラとした足取りでソファーに座った。
脱力してしまっているようだ。
まぁ、無理もない。
確定じゃないとは言え、急な話で俺もびっくりしている。
「やっぱり私が店長としてだらしがないからだわ…」
嘆息と共に言葉を吐き出す飯泉店長。
俺は飯泉店長の隣に腰かけた。
「木ノ下AMはそんな事を一言も言ってなかったじゃないですか」
それでも飯泉店長は額に手を押しあて、頭を垂らすだけだ。
「店長として本当に失格ね…私、佐京君やみっちゃんがいないと何も出来ないんだもの」
これだけ落ち込んだ飯泉店長を見るのは初めてだった。
きつく言い過ぎてしまったか?と不安がよぎる。
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