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「なぁ、理央…」
そう言いかけたとき、
「暖かいところへ行くんだったよね。買い物につき合わせちゃってゴメンね!」
理央は俺の手から荷物を取ると、あいた手で俺の手を握った。
少し冷えた理央の手。
(焦ることはない…)
今確かなのは、理央が俺の隣でニコニコと微笑んでくれる笑顔と、理央の温もりが側にあることである。
理央の笑顔を見れば、こんなにも俺は安心できる。
理央の笑顔が凍りついてしまうことが、怖い。
「ところで、一体どこに行くんだ?」
話題を変え、理央に問うた。
「3号店よ」
「3号店か。みんな元気にしてる?」
カトレア3号店は3ヶ月間だけとはいえ、お世話になった店だ。
そこで理央や3号店のみんなと出会えて、思い入れが強い店である。
確か美嶺マネージャーの妹である、宇佐美 遥マネージャーが3号店の店長になった。
それに伴い、葵さんと夕貴が3号店のマネージャーになったとか。
3号店のメンバーに思いを馳せてると、頬にポツっと冷たいものが当たった。
空を仰ぐと、いつの間にやら厚い雲に覆われて雨が降り出してきている。
「本降りになる前に急ぎましょ!」
言うが早いか、俺たちは3号店まで急いだ。
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