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「それより2人とも雨で濡れてるじゃない!遥、2人を事務所に連れて行くわね」
葵さんが理央と俺の荷物を掴み、理央の背中をぐいぐい押して行く。
「それは構わないけど…」
「さ、2人はこっちよ」
俺は雨に濡れてるのも忘れ、3号店の中を見回した。
(変わってないな、ここも)
だからこそ安心できる。
砂漠のオアシスといったら言い過ぎだけど、本当に心安らぐ。
木造の明るい店内、穏やかに流れるBGMがマッチしていて、4号店とは違った魅力がある店だ。
葵さんに連れられ、事務所に通された俺と理央はタオルを受け取り、ソファへと座った。
理央は隣で髪を拭きながら、
「凱は久しぶりよね、ここの事務所に来るのって」
「マネージャー会議で葵さんと夕貴には何度か会ってたけど、3号店に来るのは久しぶりだ」
事務所の中も俺がいた頃と全く変わってない。
ホワイトボードに、ぶ厚いファイルが入った棚、開けたまま積まれているダンボール、デスクにパソコン…
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