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「それじゃあ、私はホールに戻るから。服、しっかり乾かしなさいよ。ごゆっくり~」
葵さんは最後の台詞を俺に向かって言うと、ニシシと不敵に笑いながらドアを閉めて行った。
(完全にからかわれてるな)
「でも私より先に凱がマネージャーになるなんて思わなかったわ」
徐に理央が呟いた。
「美嶺マネージャーが寿退社したのもあるんだろうけど、経験の浅い俺がなぜマネージャーに就任したのかは分からない。木ノ下AMの推薦もあったみたいなんだけど」
「4号店はどう?」
「ほとんどデスクワークばっかりだよ」
「あぁ、4号店はマネージャーが事務仕事してるのよね」
「俺は事務仕事よりホールで動いてる方が性に合ってる」
理央はクスッと笑った。
「どうして笑うんだ?」
「凱が初めて3号店に来た時の事を思い出してたの」
俺が3号店に来た時、理央とは大して親しくなかった。
というより、悪友のお陰で軽い男に見られてたと思う。
その悪友というのは言わずもがな、譜久山 紘二である。
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