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「それより凱。気になる噂を聞いたわ」
「噂?」
髪を拭く手を止めた理央がこちらに体を向けた。
「木ノ下AMがこの地区の担当から外れるっていう話よ。何か聞いてない?」
その話なら木ノ下AM本人から聞いたばかりだ。
そして俺が3号店に異動するって話も。
「この間、休憩で事務所に入るところで宇佐美店長と木ノ下AMが話してるのを偶然聞いちゃって…」
「木ノ下AMから話は聞いた。ただ木ノ下AM自身も把握しきれてないらしく、混乱した様子だった」
俺は気になってた事を理央にぶつけた。
「花沢 直人っていう人を知ってる?木ノ下AMから聞いた名前なんだけど」
「花沢 直人…?」
理央の顔色がさっと青ざめたものに変わった。
明らかに知ってる雰囲気で、そして怯えたような、信じられないものを見るような目つきになった。
表情も少しだけ強張っている。
(やはり、あの人が関係してるのか)
そう、理央が以前つき合っていた恋人の花沢 誠さんである。
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