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寒い雪の日だった。暖炉の前に居た私たちには、外の凍える寒さが分からなかったけれど。
「つぐみは、暗くて深いところにいるのね。」
お姉様はいつもの優しい笑顔で、私を優しく抱き締めた。
カサブランカの匂いがする。お姉様の匂い。同じ家に居て、触れるものも口にするものもすべて同じなのに、お姉様しか出せないこの香り。昔から、安心させられた。
「私は今、お姉様の隣りに居るわ。ここは明るいし、私は暗いところに居ないわ?」幼い私はお姉様が言った言葉の意味が分からなかった。
二人が、何故一人だと思うのかも。
それでも二人は世界で独りぼっちだった。
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