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なんだろう。
左胸に手を伸ばす。触れたのは肋骨の隙間から突き出ているナニか。
指を伝う、生暖かい液体。
一拍遅れて、電撃のような痛みが脳髄を駆け巡った。
悲鳴を上げようと開いた口から擦れた音と血泡の混じった唾液がこぼれる。
酸素を求めて伸ばされる舌から一筋の紅い唾液が糸を引いた。
視界の中に明滅する光が散らばる。
膝から力が抜け尻餅をつきながら路面に座り込む。
反射的に溢れ出した涙で歪む世界。その先の街路灯に影が1つ姿を見せた。
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