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「水沼ぁー!」
私服に着替えた俺は、水沼を全力で叫びながら登って来たばかりの階段を全力で駆け下りる。
「そんなに慌てては、お怪我をなされますよ」
「もう子供じゃ無い。部屋の掃除はしなくて良いから、特に本棚触るの辞めてくれ」
俺が水沼を呼んだからか、階段下で背筋を伸ばし待ちかまえていた。
「散らばっていたので、何かお気に召さない事でも?」
「えっ…あっいや、行って来る」
本人を目の前にして、エロ本を片付け無いでくれとは言えない。
「行ってらっしゃいませ」
そんな俺は、携帯と財布と貰ったチケットだけをズボンのポケットの中にいれれば家を出た。
外は、すっかり暗くなっているにも関わらず気温はなかなか下がらずに暑いままだ。
携帯で時間を確認すれば、美月のバンドが出て来るにはまだ少し早い。
パチリと折りたたみ式の携帯を畳めばそれをポケットにいれて、人通りも街灯の光も少ない裏道へと俺は足を進める。
目指すは、俺の大好きなプラネタリウムのあった場所。
路地裏を抜ければ、ぽつりと1つドーム型の建物。
今は、老朽化が進んでいて危ないらしく立ち入り禁止の札が立ててあり、中に入れないようにとテープが簡単に引かれている。
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