妹のお願い

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「ねぇ、お兄ちゃん? お願いがあるんだけど……?」 と。 台所で、インフルエンザに倒れた母の為に、昼食のお粥を作っていたオレに、妹の紗雪が声をかけた。 「ん? どうした?」 ちらっと妹の方を見ると、何かの本を胸の辺りで大事そうに抱えて、頬を赤らめ、モジモジしている。 腕の隙間から見えた文字で、オレはなんとなく、妹の『お願い』が分かってしまったんだ。 ――妹も、そんな年頃になったのかあ? なんて。 つい親父のような心境で、妹を見つめてしまう。
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