145人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねぇ、お兄ちゃん?
お願いがあるんだけど……?」
と。
台所で、インフルエンザに倒れた母の為に、昼食のお粥を作っていたオレに、妹の紗雪が声をかけた。
「ん? どうした?」
ちらっと妹の方を見ると、何かの本を胸の辺りで大事そうに抱えて、頬を赤らめ、モジモジしている。
腕の隙間から見えた文字で、オレはなんとなく、妹の『お願い』が分かってしまったんだ。
――妹も、そんな年頃になったのかあ?
なんて。
つい親父のような心境で、妹を見つめてしまう。
最初のコメントを投稿しよう!