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｢待てよっ！！！｣
誰かに引っ張られたかと思うと、
ギュッと抱きしめられた。
上を見上げると、
今にも泣きそうな、直哉の姿。
｢…へっ？｣
｢何が、サヨナラ、だよっ？！
んな、悲しそうな顔して言うなよ……っ！｣
｢なお、や……？｣
｢俺ん中で、まだ整理できてないし、正直言って混乱してる！
でも、俺が怪我したのも、恵也さんが亡くなったのも、智香のせいなんかじゃないと思ってる！
俺たちは巻き込まれてはいない。
あの場に行ったのは俺たちの不注意だ。
智香は悪くない！｣
ポツリ、ポツリ、と直哉が零したであろう涙が私の額に落ちる。
｢恵也さんが庇ってくれたから、智香がいるんだろ？
じゃなかったら、智香とは出逢えなかった…｣
そっ、か……。
直哉は、プラス思考なんだ。
プラス思考な直哉が羨ましい。
私はマイナス思考で、悪いほうを考えてしまうから………。
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