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皆が去った後、その場所には涙の後があった。
僕は追いかけようとしたが、職員室から再度呼び出しがあり向かった。
後で謝ろう、そう心に決めて……。
だがそれを僕の周りは許してくれなかったのだ。
職員室のドアの前に待つ親を見た。
何度も腕時計を確認し、時間を気にしているようだった。
親は僕の姿を見ると、職員室の中に挨拶をして僕の方へ走ってくる。
僕が何かを言う前に、親が「時間がないから急ぐぞ」とその言葉だけで僕の手を掴むと走った。
いつも僕のことは無視をする、その後ろ姿だけはいつも見ていた。
今日ほどそのことを憎かった日はない。
走っている途中、友達を見かけた。
止まって謝ろうとしたら「時間が無い、急ぐぞ」と掴んでいた手を強く引っ張られ無理やり連れて行かれる。
僕が友達に挨拶を、と言う言葉さえ「時間がない」その一言ですべて消された。
そのまま車の中へ押し込むようにいれられ、車は出発した。
友達への謝れなかった悔しさ、後悔は続くが……何より別れの悲しみが強く心に残った。
一方、その頃……君は一人で隠れ家に居た。
逃げたこと、避けたことを謝るために……。
次の日もそのまた次の日も、君はその隠れ家へ足を運ぶ。
だけどもうこの町に僕の姿はなく遠くに居たため、君が僕に会うことは無かった。
しばらくして……僕たちの隠れ家には誰も訪れることは無くなった。
二人の隠れ家に一枚の手紙が置かれていたが……今の僕が確認することはなかった。
そして月日が経ち…数年後。
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