誤算

3/9
前へ
/35ページ
次へ
急いで部屋を突っ切り、外に出る鷹峰。 勿論、残された部屋の者たちはそれを話の種にして盛り上がっている。 「やっぱりあの女、鷹峰さんの恋人か何かよ!」 「それを鷲さんが盗んで…‥」 様々な憶測が飛び交う中、鷹峰の叔父・友和だけは、一人悶々と考えていたとか。 (あの顔、どっかで見たような…) ─── 一方、鷹峰はというと。 (どこに行きやがった!) 無駄に広い本家の屋敷。 部屋数はアホなくらいある。 けれども、そんなに時間は経っていないから、近くのどこかに居るはずなのだが…‥ 近くの部屋から順々に障子を開けていく。 「‥………チッ、」 そもそも、夕志は何て言って、鷲をそそのかしたんだ? もっともらしい理由をつけない限り、いくら鷲でも、いきなり一緒に連れ出しはしないだろう。……多分。 まさか、夕志がもろに女らしく誘惑するようなことはしないだろうし…‥ 夕志が自分をあの姿で誘惑するのを想像した鷹峰は、たまらず頬を赤らめた。 (想像するだけで…‥      色気がありすぎる!)
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

284人が本棚に入れています
本棚に追加