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長年、鷹峰と行動を共にしてきたが、ここまで無理を強要されたことは初めてだ。
若干涙目になりながら頭を上げれば、その表情を見ていた誰もが息をのんだ。
夕志の後ろにいた鷹峰は、その反応を不思議に思ったが、その後、振り向いた夕志を見て、鷹峰も息をのむ。
(めちゃくちゃ色っぽい!!)
「夕志っ、」
たまらず夕志を抱きしめると、訳が分からない夕志は動きを止める。
恐らく、その一部始終を見ている人びとは、あまりの嬉しさに夕志が涙をためたように見えたことだろう。
感動的な一幕に、自然とまた、拍手が沸き起こる。
だが、ある一人──叔父・友和だけは、複雑な表情で拍手を送った。
(思い出した。
あの秘書、‥……君塚夕志。
“男”だ。)
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