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「なぜ私が、こんな女ものを着なければならないのですか!」
「…申し訳ございません。しかし、」
「しかしもなにも!、」
「しかし、鷹峰様のご指示で…」
「た、鷹峰!?」
《鷹峰》と言う名前を聞いて、悔しそうな顔をして大人しくなる男に、周りでわやわやと慌てていた女たちは、安堵のため息をついた。
「…おのれ、鷹峰っ!」
怒りからか握りしめた右手がぷるぷると震えている。
女たちはそれに気づくも、何より彼の先ほどまでの抵抗により、時間が差し迫っていたため、急いで着付けにかかっていた。
(あぁ、時間に間に合わないと、首がなくなる!)
忙しく動き回る女たちに、されるがままになっている男からは、静かな怒りが表情から読み取れる。
これが逆らえるものならば、暴れまわっていたことだろう。
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