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鷹峰の叔父の手前、
下手に口出しせずとも、話はうまく取り消しの方向に向かうと思っていたが。
呆気なく、鷹峰に言いくるめられた友和に、半ば失望の気持ちを抱いた。
その、『鷹峰なら何でも出来てしまうだろう』というような思考は、どこから出てくるのだろう。
立場上、それまで一人、畳に正座していた夕志は、纏まってしまった二人の話に、たまらず立ち上がった。
「失礼ですが、私の“意志”はどうしてくれるのですか!」
今まで中々大声を出すことのなかった夕志が、大声を出した為、これには鷹峰友和共々、驚いた表情をした。
「なに、鷹峰、私はてっきり同意の上だと…‥」
「えぇ、“同意の上”です」
「ふざけるのも大概になさっ…」
さらりと嘘を言う鷹峰に、すかさず反論すると、その途中で鷹峰の手に口を塞がれる。
「んーんー!!」
「叔父さん、話は終わりです。
宴会に戻って、……あ、勿論、誰にも言わないで下さいね?」
「あ、あぁ…‥」
必死に抵抗している夕志の顔を一目見て、お気の毒にと言わずにいれなかったが、
強い圧力と共に、鷹峰にそう言われれば出ていく他ない友和は、渋々部屋を出た。
(……もしかして、姉さんと同じことを?)
──いや、男同士で結婚しようとするくらいだ。
並大抵な決意じゃできないこと。
まして、それを強引に強行して行うなんて…‥いくら鷹峰でもできまい。
そう思って、一人廊下で首をふる友和だったが。
悲しくも現実は、その通りだ。
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