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出来上がったのは、正に美しい人形。
地毛に馴染むように、ウィッグも付けた。
背が高く、細身で、どこか儚く繊細なのに、同時に品のある気高いオーラを纏っている。
紫に、金をあしらったその着物は、きっと彼の為につくられた特注品だろう。
出来上がった自分を鏡で見て、夕志は息を呑んだ。
しかしすぐさま首を振った。
「これで鷹峰を困らせてやる。」
(今日くらいいいだろう?)
堂々とした足取りで向かった先は、正月ということで屋敷に集まった人々のいる大きな畳部屋。
そこには、色とりどりの着物や袴を着た老若男女が集まっている。
その奥の中央に堂々と居座る黒にこれまたお揃いの金の刺繍を施した姿の男こそ、
絵月 鷹峰(エヅキ タカミネ)。
絵月家の当主である。
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