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この間に集まっているのは、皆、何かしら絵月家に縁のある家々の者。
新年があけて、次の日。
1月2日には、こうして絵月家本家に帯を締めて集まるのが慣わしとなっていた。
各々が互いに、一年間にあった出来事などを報告しあう。
それはもう、少し上品な宴会のようになっていて、一つ一つの話す言葉はさして大きくはないが、なんせ人数が多いため、ざわざわと五月蝿くなっていた。
が、
もう皆が集まったと思われてぴしりと閉められていた襖が勢いよく開くと、一同の目がそちらを向いた。
それまで、酒を片手に、適当な相槌をうっていた鷹峰も、しっかりと顔を上げる。
そこには、勿論───
「……っ夕志、」
待ちわびたと言わんばかりの表情で、夕志を見つめる鷹峰の瞳は獣のように光った。
夕志は久しぶりのコンタクトレンズに目を潤ませながら、キッと鷹峰を睨む。
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