284人が本棚に入れています
本棚に追加
その場に居たものは、皆、その姿に目を見張った。
一方の夕志は、まっすぐ鷹峰の目の前に向かう。
鷹峰の周りに居た者は皆、自然と道をあけた。
「あの人、誰かしら。」
「もしかして鷹峰さんの…」
ひそひそと聞こえる会話に、夕志は少し眉をひそめる。
しかし鷹峰はそんなことどうでもいいらしく、近づいてくる夕志から目を離さない。
そして、鷹峰の目の前まで行くと、丁寧に正座し、頭を下げた。
「新年、あけましておめでとうございます」
形式上、どれだけ今苛立っていようと、やらなくてはならない挨拶だ。
夕志のその口調は、どこか、嫌みを含んでいたが、鷹峰は満足そうに口元を緩めた。
「鷹峰、このお美しい方は?」
挨拶も済んだとみて、すぐさま、鷹峰の傍にいた鷹峰の叔父・絵月友和(ともかず)が、そう尋ねる。
鷹峰は自信たっぷりに夕志を紹介した。
「私の秘書です。有能な。」
「お初にお目にかかります
‥……友和様。」
「初めまして。
流石、鷹峰の秘書なだけある。
確かに有能みたいだな。」
初対面なのに鷹峰の叔父の顔を知っていたと思い、友和は夕志の能力をまず認めたようだ。
最初のコメントを投稿しよう!