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実は、しっかりと夕志は友和と会ったことがある。
勿論、スーツをしっかりと身に纏った“男”の姿で。鷹峰の秘書として。
しかし、夕志の着ている着物を用意した鷹峰しか、夕志と認識出来ていないようだ。
自分が今の姿なだけあって、恥ずかしくて初めましてと挨拶したのだが.....
嬉しいのか、悲しいのか。
確かに鷹峰好みの女顔にするよう頼んだのは紛れもない自分だが、本当にわからないらしい。
「‥…恐縮です。」
そう言って、頭を軽く下げてその場を立ち去ろうとすると、鷹峰が引きとめるように夕志の名を呼んだ。
「夕志、」
その名前に、友和が疑問を抱いたのは当たり前のこと。
さり気なく夕志の顔をよく見る。
夕志も鷹峰もそれには気づいていたが、敢えて何も言わなかった。
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