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 駅前の、噴水がある公園の中のベンチに腰をかけ、道行く人々をただぼーっと眺めていたある日のこと。  したたる汗をぬぐっても、拭いたそばからまた汗が額からにじみ出てくるこの『夏』という季節はどうもいけ好かない。 が、やることがない私には、ただぼーっと公園のベンチから、駅へと猛々しく向かっていくスーツ姿の戦士たちを見送るしかなかった。  彼らから、私の姿はどう写っているのかはわからない。 いや、本当はわかっているが、知らないふりをして『正当な意見』から身を守っている。  そう、私は戦いを拒んできた弱虫。 簡単に言えば、クズ野郎だ。
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