第三章 1000万人の証言者

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       17 打ち合わせを終えた香子はアナウンスルームのデスクで原稿に目を通していた。本日分の原稿はスタッフが渡してくれて問題無く進んでいる。 今日からまたいつものルーティーンだ…香子は安心すると共に気持ちを引き締めた。 その時、アナウンスルームの向こうからこちらに志津里がやって来るのが見えた。 香子もどのような展開で警察が捜査を進めているのかが気になっていたところだった。 香子は立ち上がり、手を上げながら志津里に声をかけた。 「志津里さん」 志津里も香子を見つけて向かってくる速度が速くなった。 「いやぁ、中さんどうもこんばんは。今日もキマってますね」 「ありがとう。キャスターの服装を誉めるなんて変わった人ね。でも会いに来てくれるなんて嬉しいわ」 「夕方頃からここに居るんですが、テレビ局って飽きないもんですねぇ。実に楽しい場所だ。毎日居ても飽きないでしょう?」 志津里は目を輝かせて子供の様に話す。 「でもこんなに広くても居る場所は限られてるから。まあ普段接点の無い人には特殊な場所かもしれないわね。満喫なさった?」
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