第三章 1000万人の証言者

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「本田の事件は大変なの?」 急に切り出す志津里に香子も構える。 「大変ですね…何せ殺人の可能性が浮上しましたから」 「それ本当?」 「ええ、と言うよりは殺人です」 志津里は断言した。 「そんな…」 「この点には自信があります」 動揺してみせた香子だが、自殺を見破られる事は想定内で、こっちには十分な保険があった。 「本田さんの手から硝煙反応が出なかったんです。拳銃ってのは撃てば手には火薬のニオイが残るんですよ」 「彼からはニオイはしなかった…」 「そういう事です。なので本田さんが引き金を引いた可能性は低いです」 「なるほど、じゃあ犯人は自然と内部の人間に限られてくるわね」 「ええ、テレビ局って部外者はなかなか入れませんし、あんな部屋がある事をまず知りませんからね。いやぁそれにしてもあなたと話しているとすんなり進みます。やっぱり頭の良い方は違うんですねぇ」 志津里は嬉しそうに話す。 「じゃあ彼と関係があってあの時間にCBMに居た人間全員が容疑者ね?」 「まあそういう事になります。誰かなんてまだ全然わかりませんが」 「でもニューストレインのスタッフは違うわね。みんなスタジオに居たんだから」
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