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香子に促された志津里は照れながら、セットに近づいて香子の横に立った。
「ほら、そっち座って。コメンテーターの席だから来るまで大丈夫よ」
「そうですか?それならお言葉に甘えて…」
志津里はぎこちなく座った。
「うわぁ、すごいなぁ。この緊張感は尋常じゃないですね」
香子はいろんな物に感動する志津里を見ていると飽きなかった。
「これは良い経験だなぁ。娘に自慢してやろう。カメラの下にあるあの画面は何ですか?」
テンションの上がった志津里は子供の様に言う。
「あれはリードっていって、キャスターが話題を言い始める時の枕詞が書いてあるの」
「ああ!次は何々の何々です。みたいな!」
「何々ばっかりね」
香子は笑った。
「あれを話す時はみんな前を見ているでしょ?あれはカメラの下のリードを読んでるの」
「なるほど!やっぱり裏側を知るのは楽しいです。いろんな物があるんだなぁ」
「じゃあ話の続きをしましょうか」
はしゃぐ志津里に香子は話題を戻した。
「ああ、はい。ニューストレインの人間には一応動機はあるんですが、堅いアリバイもある…ただCM中に抜け出す事は出来ないんですか?」
粘る志津里に香子は笑った。
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