第三章 1000万人の証言者

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「面白いわね。CM中に抜け出しても銃声がしたのはCM中じゃないんでしょ?だったらいないのはわかるはずよ」 「そうですよねぇ…」 困りながら志津里は頭を掻いた。 「特に私には無理…」 「何を言ってるんですか!?中さんが犯人だなんて言ってないですよ」 「まあそうだけど聞いてよ。私や相沢にはアリバイを証言してくれる人間は、全国にいるもの…そう考えると何だかおかしくて、そういえばあなたもその1人ね」 「ええ、昨日見てましたから…それにしても全国に証言者がいるなんて不思議な感じです。ニューストレインは視聴者も多いから何万人っているでしょうねぇ」 「1000万人とか?」 「多いなぁ…」 志津里をやり込めた事で香子は気持ちに余裕が出た。 「あと、1つ疑問があるんだけど良いかしら?」 「はい、何でしょう?」 「銃声を聞き付けて発見者は本田を見つけたんでしょ?それからすぐ警察に連絡して数人が集まったそうだけど、犯人はどうやって部屋を抜け出したの?ほら、自殺の線も再浮上してきたんじゃない?」 「そうですね…」 「さっきからあなたそればっかりね」 香子は言葉に詰まる志津里をからかった。
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