第四章 イヤな女

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      20 雪が連日降り続いている夜、年期の入ったクラウンがCBMの駐車場の入口に現れた。 守衛はそれを見つけると、待機している小部屋を出てたゆっくりとクラウンに近づいた。 「あんたも毎日毎日懲りないねぇ。事件の方はどうなの?」 守衛が言うと志津里は照れ臭そうに笑う。 「それがさぁ、まださっぱりでね。でもテレビ局は毎日来ても全然飽きないなぁ。楽しい所だよ」 連日CBMに顔を出す志津里はもう既に顔パスになっていた。 「そりゃそうだよ。一般の人はなかなか入れない場所だから」 「おじさんもいろんな人と友達なんじゃない?」 「まあね、30年やってるから」 「じゃあ中香子とも話した事ある?」 「もちろん。彼女が新人の頃はいろいろ相談されてね。仕事がつらいとか辞めたいとか言ってたよ。まああの娘が入って2~3年の時だけどね。今は胸張って頑張ってるから嬉しいもんさ」 守衛は感慨深く語った。 「へぇ、あの中香子がねぇ。今を見てると信じらんないなぁ」 「まあそうだろうね。やっぱり…ハッ、ハッ、ハックシュン!」 守衛の大きなくしゃみに周囲の人間も振り向いた。 「風邪引いたの?」 「そうらしい…最近どうも調子が悪いんだ。この仕事してて初めて風邪引いたよ」 「最近インフルエンザも流行ってるから気をつけて。僕の部下が今かかってて、娘の友達もみんなかかったらしいんだけど、娘はそんな状態でも昔から全然病気にかかんなくて…丈夫過ぎて怖いんだ。まあおじさんもお大事に」 そう言って志津里は駐車場に入っていった。後ろにはちょっとした渋滞ができていた。
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