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「何も入ってないなぁ」
「そりゃあ誰もここで音楽は聴かないでしょう?」
「まあそうだけどさぁ…う~ん。まあプラグ抜いといて」
志津里はとにかく煮詰まっている様だった。
その時、志津里が何気なく棚に手を置くと、棚の一番上に置いてある大きい壺がぐらぐらと揺れだした。
「あっ!」
佐川が壺の落下を阻止しようとした。しかし、間に合わなかった。
壺は床に落ちた瞬間に物凄く大きな音を立てて砕け散った。
「ちょっと警部!」
「いやぁびっくりしたなぁ…」
志津里は足元で壺が割れた事に驚きを隠せないでいた。
「何でこんなおっきい壺を高いとこに置くかなぁ…」
「どうしましょうか?」
「じゃあ僕局の人に行ってほうきと塵取り借りてくるよ、破片出来るだけ集めてて…あっ、手は切らないようにね」
佐川にそう言い残して志津里は部屋を出た。
まだイライラを持ちながら廊下を進む志津里はトイレ前で電話をする坂東を発見した。
「坂東さん、坂東さん」
志津里は背を向けている坂東の肩を叩いた。振り向いた坂東は一瞬のけ反る。
「なんだ…刑事さんか。今電話中で…」
「いやぁ相変わらずお疲れ模様ですねぇ、年末年始は忙しそうだ」
坂東の言葉を遮って志津里は話し始める。
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