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「警部どこ行くんです?」
佐川は廊下を歩く志津里に追い付いた。
「あのさぁ今何時?」
「11時6分です」
佐川は素早く答える。
志津里が何かを掴んだ事を佐川も感じ、背筋を伸ばした。
「それなら丁度いいや。ニューストレインのところ行ってきてさ、事件の夜のニューストレインのテープ借りてきてよ」
「テープですか?」
「うん。そういうのあるはずだから」
「いいんですか?」
「捜査だって言えば大丈夫だから」
「わかりました」
会話もテンポ良く進む。噛み合わない2人が漸くまとまり始めた。
「僕は先に視聴覚室を貸してもらってくるよ。まあ小さいとこでいいからさぁ」
「わかりました。でもどうして急に?」
「何かわかるかもしれないからね。アリバイは崩れたけど、決め手が無い」
「決め手ってなんです?志津里さんは犯人の目星がついてるんですか?」
志津里の考えに少し置いていかれている佐川は疑問をぶつけた。
「うん、ついてるよ。知りたい?」
「ええ、もちろん」
「中香子だよ」
「ええ!?」
佐川は反射的に驚いた。
「そんな!?どうして?事件のあった時は本番中で…」
「それが崩れたの。じゃあよろしくね」
佐川が呆然と立ち尽くす中、志津里はマイペースに立ち去った。
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