最終章 伝えられた真実

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「おはようさん」 志津里は口元に笑いを含みながら言った。表情は充実している。 「あれからもずっと見ていたんですか?」 「ああ、3~40回は見たよ」 「すごい…」 小声で佐川は言う。 「ある部分が最初から引っ掛かってたんだけどさ、だんだん見ていくうちにちょっとした可能性に気付いたんだ。面白いよ、こうなれば後は裏付け」 志津里は機嫌がすこぶる良く、鼻歌を奏でている。 「ちょっと眠ろうかな」 志津里は背広を身体に被せた。 「それってB'zですよね?」 鼻歌の原曲を佐川が訊ねる。 「良く知ってるね」 「…ファンなんです」 「そうなの!?僕も大ファンなんだよ!いやぁだったら早く言ってよ。いろいろ話したいのに…」 志津里は身体を起こして話し出す。志津里のテンションに佐川は押され気味になる。 「好きなアルバムは何?」 「えっと…<ルース>です」 「<ルース>かぁ、一番売れたもんね。僕は<サバイブ>だね、あれがいい。そういえば、ライブじゃあさぁ…」 眠るどころかますます饒舌になる志津里を見て、佐川は志津里のタフさを思い知った。
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