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「はいこれダメ!やり直し!」
報道局デスクの桜井に村井卓巳は記事を返された。
夕方に上がる記事はかなり厳しくチェックされる。もちろん報道するものなので当然なのだが、自信を持って提出する記事が厳しいダメ出しを上乗せして手元に戻ってくる。その度に村井はかなりへこむ。毎日の事ながらこれは慣れないものであった。
ギリギリに提出すると少しチェックは甘くなるものの書くのが遅いとどやされる。寝ずに取材もこなしながらするには割りに合わない仕事だと実感する。
でも、スクープをデスクに認められた時はこの上ない快感だ。だからこの仕事はやめられない…
村井はまたパソコンに向かい記事を打ち始めた。
その時、村井は肩を叩かれた。
村井が振り向くと真横に顔があった。村井は瞬間的に後退りした。
「いやぁ、報道局は混雑してるなぁ」
男は村井のパソコンを見ながら言った。
「あなた誰ですか?」
男は背広の内ポケットから取り出した警察手帳を広げた。
「警視庁の志津里です。それにしても報道局はてんてこ舞いですね。これは毎日ですか?」
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