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「ええ、そりゃあもう。大きな事件があればもっとすごいですよ」
「そうなんだ。6時のニュースの記事書いてるの?」
「今5時過ぎてるのに間に合う訳ないじゃないですか!これはニューストレインの記事ですよ」
「ええ!?こんなに早くから書くの?」
「そうですよ。まあ今から大きな事件がある時は取材に行ってからもっと後に書くときもありますけど」
「ああ、やっぱりそうなんだ…」
志津里は考える様に黙った。
「何か気になる事でもあるんですか?」
「あのさぁ、本田プロデューサーが亡くなった夜は君はどこにいたの?」
「僕容疑者なんですか?」
村井は慌てたが、次の志津里の言葉で早とちりであったとわかった。
「そんな事一言も言ってないでしょ。君はあの夜はなんか記事書いた?」
「はい。埼玉の強盗殺人の犯人が挙がったっていう事だったので埼玉に向かってそっから局に戻って記事を書きました」
「やっぱり…君は新人?」
「3年目です」
「そっか、頑張って。僕ニューストレイン大好きで毎日見てるんだよ。良い記事いっぱい書いて偉くなって」
志津里はまた肩を叩いて報道局を足早に去った。
また村井はパソコンに向かうが、改めて文体を見ると偉くなるには遠いなぁと実感した。
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