最終章 伝えられた真実

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「まあきっかけはほんの偶然なんですが、あの部屋で大きな壺を割っちゃって、それはそれは大きな音がしたんですが、外にいた人は全く気付かなかったんです。おわかりですか?あの部屋の銃声は外に届かないんですよ。犯行に使われた銃は小さなものですから、聞こえる事は無いんです。ただ、実際は聞こえた。だから、偽物だとわかりました」 なるほど、それは誤算だった…香子は黙ったまま確認を怠った事を悔やんだ。 「そうなると、あの時にニュースを読んでいた事はアリバイにも何にもならないんです」 「そうみたいね、だからって私が犯人なの?飛躍のし過ぎね。それを言い出せば本田と個人的な恨みのある人間なら誰でも良いじゃない。絶対に私だとわかる証拠はあるの?」 「ええ、もちろんあります」 志津里はゆっくりと、しかしはっきり言い切った。 「じゃあ見せてちょうだい。ハッタリじゃ済まされないわよ」 香子も態度は崩さない。隙を見せない様に堂々としている。 そして、お互い独特な距離を持ったまま会話は進む、しかし確実に志津里は香子を追い詰めていく…
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