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「でも殺さなかったら私は春までしか出られないもの…」
「ただ、あなたは新しい原稿に惑わされずに正しい名前を言った事は素晴らしい事だったと思います」
志津里は晴れやかな表情で言った。
「当たり前じゃない…名前を間違えるなんてもっての他、真実を伝えるのが私たちの仕事なのよ」
香子が自らのプライドを言い放つと、志津里は静かに頷いた。
「まだここにいますか?」
「もういいわ…でもありがとう、今日まで解決しないでいてくれて…おかげで今年いっぱいはキャスターでいられたもの」
「いいえ、本当はもっと見ていたかったです…どうぞ」
志津里はスタジオの扉を開ける。すると静かなスタジオには扉に向かう香子のハイヒールの音が響いた。
2人がスタジオを出ると、香子が去るのを名残惜しむ様にスタジオの明かりが少しずつ消えた。
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