間違いは誰にでもある。ということ。

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何日か後、トラックの運転手と、その家族が見舞いにきてくれた。 最初は、罵詈雑言を浴びせようと思ったけど。 言葉が出なかった。 この人も生活がかかっている。 旦那と妻が土下座している。 娘は立ち尽くしている。 俺の現状は、機械に繋がれてサイボーグのようらしい。 「どんな償いもさせていただきます。どうか裁判だけは・・・」 都合のいい話だ。 しかし、職を失うのは大変だろう。 「医療費、それから娘さんは一生俺の介護。つまり、俺の嫁になる。これが条件だ」 娘は、抜群に可愛い。 すこし茶色の髪をストレートで伸ばして、腰まである。 小さな顔に大きな瞳。間違いなく美人だ。 「俺の嫁になって一生を共にすごしてもらう」 「そんな・・・」 「では。交通刑務所へどうぞ」 「最低・・・」 「そう思ってくれていい。俺の人生は絶望で出来ているのだから」 「考えさせてくれませんか?」 「どうぞ」 その日の面会時間ギリギリに家族に条件を離した。 「慰謝料をもらっても、相手が破綻したら貰えない。だから人質を取る。少しは介護も楽になるだろ」 「あなたは、強い子ね」 「かあさん、それは違う。関係ない娘に八つ当たりしてるだけだ」 「おにいちゃん」 「しばらくすれば退院だ。今度からは優しく起こしてくれな」 「父さん、同居人が増えるかもしれない。部屋の支度を頼む」 「わかった」 今日は、疲れた。 寝よう。
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