一章 意味のないこと

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およそ一時間の隠れんぼを終えて、チャイムが鳴る。昼休みの時間だ。 いつもなら、ユウキと机を合わせて一緒に弁当を食すところだが、どうも僕は「鬼」の役割を果たさないと気が済まないようだ。 「どこか行くのか?」 ユウキが、机を動かさない僕に疑問を思ってか、首を傾げて訊ねてきた。 ここで僕が旧校舎に行ってしまえばユウキは一人になってしまう。 だけど、僕ほど不器用でもない筈だ。ユウキの話し相手なら、たくさんいる。安心して旧校舎に行ける、なんて死に際みたいな自分。 「ちょっと用があるんだ。ごめん」 「そっか……」 ユウキは少し寂しそうに目を伏せた。でも直ぐに「早く戻って来いよ」と明るく僕を送り出した。台詞だけを取れば、少しだけドラマチックだと思った。ほんの少しだけ。
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