一章 意味のないこと

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「教卓の下、かな」 体が小さいから、と悪態をつくのは止めておいた。 「当たり」 にっ、と両肘をついたまま彼女は笑った。可愛い笑顔だ。イヤな気はしない。 「さて……」 彼女は教卓へと座った。行儀の悪いこと。足をぶらぶらとさせる。見た目だけではなく、中身も少し幼いようだ。 「見えたんだ?」 「はっ?」 脈絡のない問い掛けに、僕自身が一番嫌う聞き返し方をしてしまった。自分で言っても腹立たしい。「はっ?」という一言は。 慌てて「どういう意味?」と付け足した。 微笑んで、彼女の返答。 「パンツ」 「はっ?」 これは相手が悪い。
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