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カツカツと、チョークの音が様々なリズムと強弱をもって、教室の中で響いている。
それは電車のちょっとした揺れみたいなもので、理由は分からないけれど何故か眠気を誘う。
その音に合わせて書かれるのは、また眠気を誘うには十分な数字や記号だ。
季節は、春と夏の境目。5月だった。暑くないけれど、温かいとも言い難い。何とも言えないこの「ぬくさ」が、まるで布団にくるまっているかのような錯覚に陥れる。
僕は肘をついた。
我慢の限界だった。
もっとも、その我慢というのは本当に我慢をしている人には、失礼に値するものなのだけれど。
次に目を開けた時、黒板から暗号は全て消えていた。
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