92人が本棚に入れています
本棚に追加
「それでさ、昨日の晩御飯もカレーで、二日連続だったんだよ」
ユウキは、少なくとも僕のように思慮深いわけではないように見えた。馬鹿にしているわけじゃない。ただ、羨ましいだけ。
「でも二日目のカレー、よく煮込んだカレーは美味しいじゃないか?」
「確かにな、美味かったよ。けど新鮮味がない分、プラマイゼロだって」
はは、と僕は笑った。
この日常は新鮮味だけが失われていく。マイナスだけ。そんなことを悟った風に考えていた。
チャイムが鳴る。「んじゃ、また後で」と僕は黒板と向き合った。直ぐに目を逸らしたけれど。
最初のコメントを投稿しよう!