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「《耕助》か?それなら…………ホラ、あそこで座り込んでるヤツ」
シデンが指差した先には、うなだれるようにして椅子に座り込む深紅の髪の少年がいた。
翔たちの視線を察したのか、紅き髪は頭を上げて、彼らを睨み付ける。
その相貌は、酷く疲れ切っている。そして眼差しは、鋭く冷え切っている。
そこで翔は目尻から右頬にかけて大きな火傷が残っているのに気付き、思わず息をのんだ。
「……ふん」
一瞥した後、再び下を向き始める《晴嵐耕助》。
「か、感じ悪ぃ…………。あれが《晴嵐耕助》か?」
「そうですよ。……ま、彼にも何かと色々あるんですよ。《色々》、ね。」
眉をピクピク動かしている翔に対し、友矢は耕助を凝視し続けた。
(以前の僕に……似ている)
そう思い立った友矢は、徐に耕助に近づき始める。
「おいおい、どうした?」
翔が呼ぶのも聞かず、友矢は一直線に歩く。
自分に近付く影に、ゆっくりと頭を上げる耕助。その瞳は、敵意に満ちているのがわかる。
「君があの蜘蛛を倒したパイロットの《晴嵐耕助》か?僕は《森小路友矢》。あの時は迷惑をかけてすまない」
真摯にコミュニケーションを図ろうとする友矢であったが、その反応を見た耕助は、何の前触れもなく大声を上げて笑い返した。
「ククククク…………アハハハハハハハ!」
「……なにがおかしい?」
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