恐いお兄さんの前でジョジョ立ちしてみた

22/22
前へ
/141ページ
次へ
何度も、何度も、何度も何度も俺の名前を呼び続ける緑川。 「なぁ……俺、どうすればいい?」 俺は耐え切れなくなって、遂に緑川に尋ねる。 緑川は記憶を失った俺に何を望むのだろうか? それが気になった。 できれば教えて欲しかった。 それが甘えだって事はわかってる。 でも、今の俺は緑川に甘えることしかできない。 自分では答えが見つけられない。 「……笑えば」 「笑えばいいと思うよ。なんて言ったらスカート捲るぞ」 折角人がシリアスモードになっているのにこの子ったら…… 「好治は……」 「何だ?」 「今が辛い?」 「全身全霊ハッピーだぜ!って言ったら盛大な嘘になるな」 「じゃあ、記憶……取り戻したかと?」 「できれば……」 できれば、目の前の少女が悲しまないようにしたいと思う。 記憶を失う前の俺が、この少女にどのような感情を抱いていたかは知らないが、今の俺はこの少女の事を大事にしたいと思っている。 記憶が戻る事で、目の前の少女が喜ぶのであれば……俺は全力で記憶を取り戻したい。 「いや……絶対に取り戻したい。かな?」 言葉にする事で少し心が軽くなった。 「緑川……俺が記憶を取り戻したらどうする?」 「……とりあえず一発殴る」 あぅ…… ぎゅっ!と握りこぶしを作る緑川から後ずさる俺。 意外と武闘派ですか? いいえケフィアです。
/141ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32003人が本棚に入れています
本棚に追加