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「ちょっとトイレ行ってくる。待つのが面倒だったら先に帰ってて良いよ」
俺は赤木さんにそう告げて、返事を待たずにその場を離れて公園に設置されている公衆トイレへと向かった。
疲れた……
どうやら俺は元来お喋りな人間ではないらしい。
恐らく赤木さんのおしゃべりレベルは標準レベルなのだろうが……
悲しきかな、佐藤君は標準レベルにも満たないらしい。
「赤木さん……俺が記憶を失う原因は自分にあるって思って気に病んでたみたいだったからなぁ……」
誰に告げるわけでもなく独り言を呟いて、小さい方を済ませる。
公衆トイレから松葉杖をつきながら出た俺の目になんとも奇妙な光景が飛び込んできた。
先ほどまで一緒に話していたベンチ付近に赤木さんがいた。
しかし、
だがしかし、
しかしだがしかしバット(but)
「何故あいつもいるんだ?」
赤木さんは一人ではなかった。
赤木さんと一緒にいる人物。
「病室で待っててくれって言った気がするんだが……」
俺の視線の先にいる人物。
相変わらずきつい印象の赤木さん。
そんでもって無表情の緑川。
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